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2025.07.22
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2024年度キオクシア奨励研究の「優秀研究賞」受賞について

当センターの赤瀬善太郎特任准教授が2024年度キオクシア奨励研究において「優秀研究賞」を受賞されました。
【受賞テーマ】

「次世代半導体デバイスのための高精度なマルチモーダル三次元顕微解析技術の開発」
半導体デバイスは、一層の高機能化・省エネ化をめざして、チップ構造の三次元化・チップレットの三次元集積などの三次元構造の複雑化が進められている。微細で複雑な構造を持つデバイスを効果的、かつ効率的に研究開発するには、デバイスの微細領域における三次元構造および三次元元素(不純物)分布を『同一箇所で正確に』把握することが必須となってきており、高検出感度かつ高分解能(+高位置精度)での分析技術が切望されている。しかし、検出感度と分解能(+高位置精度)はトレードオフの関係にあり、このような要件を満たす分析手法は単独の分析手法では存在しない。そこで本研究では、3DAPと電子線トモグラフィー(ET)のマルチモーダル解析手法を開発した。3DAPは微量元素の分布を可視化できるが、像に歪みが生じる。一方、ETは高い空間分解能を持つが、検出感度に制約がある。これらの特徴を考慮し、Bスプライン変形場とCMA-ESを用いた最適化に基づく「非剛体レジストレーション」技術による両データの正確な位置合わせ手法を開発した。2次元および3次元の模擬モデルを用いた検証で、本手法の有効性を確認した。実験では、GaN系半導体試料から3DAPおよびSTEMデータを取得し、2D-2Dの非剛体レジストレーションを実施した。複雑なコントラストを持つSTEM像に対しても、本アルゴリズムが順調に動作することを確認した。

【受賞概要】

本賞は2024年度に実施されたキオクシア奨励研究の中から、1年間の研究成果について厳正な審査が行われ、理学・工学に学術的貢献をされたものとして、プロセス部門にて「次世代半導体デバイスための高精度なマルチモーダル三次元顕微解析技術の開発」により受賞されました。

【赤瀬善太郎特任准教授からのコメント】

このたびは、このような栄えある賞を賜り、誠に光栄に存じます。本研究においてご支援・ご協力を賜りました共同研究者の冨谷茂隆教授、岩満一功助教、大竹義人准教授をはじめ、NIMSの大久保忠勝先生、埋橋淳先生、並びに阪大の山﨑順先生、中島宏先生に心より御礼申し上げます。今後は本手法の実デバイスへの応用に向けて、より一層研究を深めてまいります。

【赤瀬善太郎特任准教授と賞状】