Speaker:
畑中美穂(奈良先端大 DSC・マテリアルズ・インフォマティクス部門(兼) 特任准教授)
Bio:
慶應義塾大学にて博士(理学)を取得後、京都大学福井謙一記念研究センターフェロー、近畿大学理工学部助教を経て、2017年4月より研究推進機構(兼 物質創成科学研究科・データ駆動型サイエンス創造センター)特任准教授。マテリアルズ・インフォマティクス研究室を主催。計算化学の手法を用いて、触媒反応や発光材料の機構解明・分子設計を行っている。特にレア・アースを含む材料の理論解析を可能にする計算方法の開発に力を入れており、英国王立化学会のPCCP Prizeを受賞するなど高い評価を受けている。2015年JSTさきがけ研究員採用を期に、計算化学の最新の手法の一つである自動反応経路探索法と機械学習を組み合わせた効率的解析に取り組んでいる。
Title:
“Automated Search for Chemical Reaction Pathways and Analysis by Machine
Learning: A Case Study on Asymmetric Aldol Reaction”
Abstract:
計算化学は、様々な化学反応や機能性材料の機構解析・分子設計の指針の構築に大きく貢献してきた。特に近年、自動的に化学反応の経路を探索する技術が発展し、計算化学により取得できる情報が飛躍的に多くなってきた。その中でも人工力誘起反応法は、反応に関わる化合物と、有機化学でお馴染みの「矢印」の情報があれば、反応経路上の中間体や遷移状態をほぼ自動的に、網羅的に調べ上げることを可能にした。しかし、新しい問題も生じた。それは、得られる化学構造が多過ぎるという問題である。これまで、得られた情報の解析はユーザーに委ねられていたが、我々は機械学習を用いた効率化を目指している。講演では触媒反応を例に、自動反応経路探索と機械学習の融合の例や今後の展開について議論する。