データ駆動型サイエンス創造センター

Events

2024.12.19

「学内向け電子ラボノートワークショップ」開催のご報告

開催日

2024年12月18日(水)

場所

Rethink物質創成科学大講義室およびZoomによる中継

参加者数

110名 うち教職員63名(57%)学生47名(43%)

プログラム

15:10~15:20   ワークショップ開催の意図:DSCセンター長 船津公人 教授  
15:20~15:45   電子ラボノートの概要:高須賀聖五 助教
15:45~16:55   電子ラボノートの活用事例紹介:5研究室
  15:45     マテリアルズ・インフォマティクス研究室
         高山大鑑 准教授・中嶋梨恵 技術補佐員
         「教員と技術補佐員の電子ラボノートを使った共創」
  16:00     物性情報物理学研究室
         武田さくら 助教
         「物性物理実験と計算の詳細の電子ラボノート上への集約」
  16:15     計算システムズ生物学研究室
         小野直亮 准教授
         「eLab APIを用いたeLabFTWの活用方法」
  16:30     データ駆動型化学研究室
         宮尾知幸 准教授
         「ドライラボでの電子ラボノートの使用状況」
  16:40     計測インフォマティクス研究室
         赤瀬善太郎 特任准教授
         「電子ラボノートを用いた計測メタデータの記録と情報共有」
16:55~17:00   総括:太田淳 研究担当理事

詳細および当日の様子

2024年12月18日、標記ワークショップが開催されました。電子ラボノートは研究活動のハブとして機能し、データの一元管理や共有を可能にするとともに、研究のDX(デジタルトランスフォーメーション)を促進します。本ワークショップでは電子ラボノートが先行導入されたDSC 5研究室から下記のような活用事例が紹介されました。

「教員と技術補佐員の電子ラボノートを使った共創」:
複数人が同一のノートを編集できる機能を活用し、教員と技術補佐員が協力して研究を進める手順が示されました。その中で、テンプレートの活用例、タブレット端末とバーコードリーダーによる薬品登録の実例、写真のアップロードなどの実践的なTipsが紹介されました。質疑応答では、特に入力端末に関する質問が多く寄せられました。

「物性物理実験と計算の詳細の電子ラボノート上への集約」:
電子ラボノートの導入目的として、①プロジェクトに関する情報の一元管理、②データのトレーサビリティ確保、③検索の容易性、④記録形式の統一が挙げられました。さらに、研究室内での議論の際に、関連データを迅速に参照できるようになった利点が紹介されました。質疑応答では、プログラムコードの具体的な管理方法や、電子ラボノート化が進んでいない装置ログブックの取り扱いについて議論が交わされました。

「eLab APIを用いたeLabFTWの活用方法」:
情報分野におけるプログラム開発環境のトレンドとして、Jupyter Notebookのような統合環境の利用が一般的になっていることが紹介され、Jupyter Notebookと電子ラボノートを連携させる方法が示されました。具体的にはAPIを用いて、Jupyterファイル(.ipynb)を電子ラボノート記事として自動的に投稿するスクリプトが紹介され,コードのバージョン管理に役立つことが示されました。質疑応答では、JupyterLiteなどのツールとの比較や、ファイルのアップロード制限に関する議論が交わされました。

「ドライラボでの電子ラボノートの使用状況」:
ドライラボでの活用事例として、研究日誌(日報)としての活用法や、ラボ内でのTips、コードのバグ報告などのWiki的な情報共有手段としての活用法、スタッフへの作業指示のための利用法、計算リソース(ワークステーション)の予約管理手段としての活用が紹介されました。情報共有の手段が一元化された利点が紹介されました.

「電子ラボノートを用いた計測メタデータの記録と情報共有」:
電子顕微鏡観察の実験ログの作成に電子ラボノートを活用している事例が紹介されました。テンプレートの挿入により入力を簡略化する方法や,実験後にpythonスクリプトを用いてメタデータと画像サムネイルの一覧表を自動整形する手順が示されました。また,企業との共同研究時における、セキュリティを考慮した電子ラボノートの利用方法の工夫が述べられました。

以上、多岐にわたる議論が活発に行われ、電子ラボノートの有効性と今後の可能性を示す貴重な機会となりました。

主催

データ駆動型サイエンス創造センター・RX実装部門

 

 

 

 

 

※研究内容およびプライバシー保護のため、写真を加工しています。